ペットと海外へ

外国へ犬、猫、どうぶつさんを連れていくときは

簡単にいうと、検査機関の発行する検査結果証明書にそって獣医師が記載をし、動物検疫所にて出国時の検査をうけ、英文の輸出検疫証明書を発行してもらいます。最後に相手国の入国許可がおりれば入国できます。
*この時、日本を出るための条件と相手の国に入るための条件をクリアする必要があります。申し込み用紙や形式は変わることが多いので必ず最新の情報で確認するようにしましょう。
では、何からはじめたらいいのでしょうか?よくある質問を記載しておきます。 

1.日本の動物検疫所に確認しよう。

(出国条の一例として以下の記載をします) 狂犬病(犬の場合は狂犬病とレプトスピラ症)についての検査及び輸出検疫証明書が必要です。事前(出国7日前まで)に動物検疫所で輸出検査申請書を提出するか、動物検疫検査手続電算処理システム(ANIPAS)が必要です 

2.入国するための条件を確認しよう。

日本にある相手国大使館(外部リンク)か、相手国の動物検疫機関に相手国に入国するための条件を確認しよう。 (入国条件の一例として以下を記載します) 

3.かかりつけの獣医さん相談しよう。

①マイクロチップを入れよう(全ての処置はマイクロチップをいれてからでないと無効になることが多いです)

②狂犬病の予防接種 を確認しよう(1年以内にうっていないと、1回目をうってから1ヵ月後に2回をうち、その2週間後の血液検査(抗体価測定)が必要なこともあります。また、検査結果は採血日から2年間有効です。それ以降は日本に戻ってくるときに再び手続きが必要です)

③ジステンパー、猫白血病など混合ワクチン予防接種 (入国条件として犬なら8種、猫なら5種が必要な国が多いです。全文英語でないと受け入れない国もあるので注意しましょう)

④外部寄生虫(ノミ、ダニ)、内部寄生虫(回虫、条虫、鈎虫など)の駆虫薬投与を確認しよう 。(渡航の何日前にと指定があることがあります。)

⑤血清検査を確認しよう(検査機関や検査方法の指定があることがあるのでよく確認しよう。場合によっては海外に血液を送って、証明をとるのに2週間以上かかることもあります) 

⑥輸送にたえうる健康診断証明書をかかりつけ獣医さんに頼んで用意しておこう。 

⑦在住(期間)証明 をとろう。 

⑧輸送ケージや輸送方法の確認をしておこう。ケージはどうぶつさんに苦痛を与えず安全に輸送するもの、つまり、自由に立つ ・座る ・寝る ・回転することができる大きさで、換気に十分な通気口を有し、通気穴や網目から鼻先や手足が出ることがなく、逃亡防止の機能を持ったものを用意してください。 

最後に最も大事なことをいくつか記載しておきます。

1. 入国、出国の条件はすべて個人で確認し、用紙(フォーム)を自分で集めなくてはなりません。

2. どうぶつさんの渡航代行会社もありますが、どこまでやってくれるのかよく確認し申し込んだほうがいいです。場合によっては審査には関与せず、運搬のみということもあります。

3. 当然のことですが証明書にはすべてお金がかかります。

4. 最短でも2~3ヵ月、長いと半年以上準備にかかります。

5. 関係書類の内容に不備がある場合、最長180日間の係留検査が必要になります。

6. 老齢、病弱、妊娠中、授乳中、既往症がある、投薬中、ケガをしているようなどうぶつさんは輸送や相手国での係留検査には適しません。

以上をふまえて、少なくとも自分で用紙を集められない(集めている時間がない)、英語での申し込み用紙や記載事項の確認ができない方や、一時的な旅行にどうぶつさんを連れていきたいという方にはあまりお奨めできません。日本国内で過ごしたほうがどうぶつさんにとって、しあわせな場合もあります。ご家族やかかりつけの獣医さんによく相談をしてみましょう。

当院は代行会社ではありませんが、資料を持参していただける方には書類を用意致します。なかなか時間がないから、、、という方は、どうぶつさんの渡航代行会社へお問い合わせください。 

よくある質問コーナー

Q 子犬のワクチンは1回接種だけではだめなのでしょうか?
A 最近では、ブリーダーさんやペットショップの希望で早い時期に1回目のワクチン接種を行っているケースが多くなりました。
幼少期は母犬からの移行抗体でウイルスなどの外敵から守られているのですが、その免疫が持続する期間は個体によって様々です。
悪いことに、この優秀な移行抗体が残っている時期に、
ワクチンを接種するとワクチン自体が中和されてしまう場合があります。
ですので、1回目のワクチンが不十分だった可能性を考えて追加接種が勧められます(ワクチンの種類や接種時期により追加のワクチンの種類や回数が変わります)。
また、ワクチンを追加接種するもう一つの理由に『ブースター効果』というものも知られています。これは全ての動物(人も含む)に当てはまります。

 ブースター効果とは・・・1回目のワクチンあるいは感染で基礎的な免疫が作られます。これに、もう一度同種ウイルスの感染あるいはワクチンを曝露させることによって免疫力を増幅させるというものです。
Q 避妊・去勢手術のメリット・デメリットを教えてください。
A 外飼いが多かった昔と違い、現在では不妊手術の目的は「望まれない繁殖を防ぐ」というものから、「性ホルモンに関係する疾病や問題行動を防ぐ」というものに変わってきました。
不妊手術はかわいそう・自然の摂理に反していると考える飼主さんもいるかもしれませんが、人社会に共存するワンちゃん・猫ちゃんの健康にとって、非常にメリットの多いものとなっています。 

【犬でのメリット】
オス犬の場合は、一般的に攻撃性が低下すると言われています。また、老化に伴って増加する精巣や肛門周囲の腫瘍、前立腺肥大、会陰ヘルニアなどに患りにくくなります。発情期のストレスから解放され、マーキング行為も少なくなります。
メス犬の場合は、望まれない妊娠を防ぐことができ、発生率の高い、、、卵巣腫瘍、鼠径(そけい)ヘルニアを防ぐことができます。また、生理と発情期のストレスがなくなり、散歩時にオスが寄り付かなくなります。 

【犬でのメリット】
オス猫の場合、マーキング(スプレー行為)が減少します。放浪したりオス同士のケンカが少なくなるので、怪我や伝染病になる危険性が減少します。
メス猫の場合、発情期の鳴き声が軽減され、発情期のストレスやマーキングが減少します。

【デメリット】
全身麻酔を伴う手術の為、麻酔薬に対するアレルギー反応の事故等、手術のリスクは皆無ではありません。また、高齢になるほど、手術の負担が大きくなるのは確かです。
しかし、昨今の麻酔技術の進歩により非常に安全性の高い手術になってきました。
もう一点のデメリットとして、肥満になりやすい傾向があるようです。性行動が無くなる事によるストレスの減少、運動量の不足が原因と思われます。
しかし、私たち人間と同じに適切な運動と食事管理で防げることなので、生活習慣に気をつけてあげてください。
Q うちの犬の皮膚に出来物(しこり)があります。ガンでしょうか?
A 高齢の犬猫が多くなってきた現代では、人間の老化現象と同じように腫瘍が出来ることも多くなってきました。
腫瘍といっても、イボのような小さな出来物であったり、全身に転移してしまう悪性腫瘍(ガン)などいろいろなものがあります。
また、腫瘍以外にも細菌や異物などによって引き起こされた腫瘤や、膿・血液などが貯まってできるしこりの場合もあります。 
老化現象として様子を見てもよいものもありますが、治療が遅れた為に手遅れとなる場合もありますので、日頃からのスキンシップとして皮膚に何か出来ていないかチェックしてあげてください。 
動物病院では、出来物(しこり)のできた経緯(いつからか?大きさの変化はどうか?痛みはあるか?)や、細い針を使って細胞を採取する細胞診、抗生物質などに対する反応をみて、出来物がガンであるのか、それ以外なのかを診断していきます。
Q うちの猫が風邪を引いたみたいです。市販の風邪薬を与えても良いでしょうか?
A 猫は、人間や犬などに比べて薬物の代謝・解毒機能が非常に弱い動物です。
猫ちゃんに人間用のお薬を与えるのは、時に命に関わる重大な中毒を起こす場合がありますので、絶対に与えないで下さい。
身近なお薬ですと、風邪薬(総合感冒薬)に含まれているアセトアミノフェンが少量でも肝不全、メタヘモグロビン血症、ショックなど重篤な中毒を起こすことが知られています。
解熱剤として使われているこの成分は体重当たり50mgと少量でも中毒を起こします。試しに市販の風邪薬を見てみると1錠中100mg含まれていました。
また、整腸薬に含まれるクレオソートも猫ちゃんの命を奪う可能性があります。たった2粒で成猫が中毒死してしまうこともあります。
Q 動物の診療費はなぜ動物病院ごとに違うのですか?
A 動物の医療費制度は人間の病院での医療費のような国民皆保険制度と違い、美容整形での整形手術のような自由診療制度となっています。
病院の規模や技術によって治療をするためにかかっている投資(設備費、人件費、教育費、技術レベル)が違ってきますので治療費に違いが生じてきます。ただし、大きな病院やスタッフの多い病院の方が高いということではありません。
また、自由診療で行われている治療費を無理やり合わせようとすると独占禁止法による違法行為になってしまいます。
Q 専門医のいる病院や大学病院に行きたいのですが。
A 当院で対応が難しい病気や専門的な知識が必要な病気の場合、専門医や2次診療施設をご紹介させていただいております。原則、無料で紹介状を作成いたします。
専門医へのセカンドオピニオンのご希望がありましたら遠慮せずにおっしゃってください。
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